かや(読み)カヤ

デジタル大辞泉 「かや」の意味・読み・例文・類語

か‐や[連語]

[連語]係助詞「か」+間投助詞「や」》
(多く「とかや」の形で)不確定な伝聞または推定の意を表す。…とかいうことだ。
「例の、独りごち給ふと―」〈・蜻蛉〉
体言、活用語連体形に付いて、疑問または反語の意を表す。
「そもこの衣の御主とは、さては天人にてまします―」〈謡・羽衣

かや[終助]

[終助]終助詞「か」+間投助詞「や」から》体言・活用語の連体形に付き、感動・詠嘆を表す。…ことだなあ。
うれたき―、大丈ますらをにして、いやしきやっこの手を被傷ひて報ひずしてみなむと」〈神武紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「かや」の意味・読み・例文・類語

か‐や

  1. [ 一 ] ( 詠嘆の終助詞「か」に間投助詞「や」の付いたもの ) 感動、詠嘆の意を表わす。…ことだな。
    1. [初出の実例]「慨哉、大丈夫(ますらを)にして〈慨哉、此をば于黎多棄伽夜(うれたきカヤ)と云ふ〉」(出典日本書紀(720)神武即位前戊午年五月)
  2. [ 二 ] ( 係助詞「か」に間投助詞「や」の付いたもの )
    1. ( 多く「とかや」の形で ) 不確実な伝聞または不定の意を表わす。
      1. [初出の実例]「落ちぐりとかや、何とかや、昔の人のめでたうしける袷の袴一具」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
    2. 疑問または反語の意を表わす。
      1. [初出の実例]「時の間もながらふべき我が身かや。とても思ひに堪へかねば」(出典:太平記(14C後)一一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「かや」の意味・わかりやすい解説

カヤ(イチイ科)
かや / 榧
japanese plum-yew
[学] Torreya nucifera (L.) Sieb. et Zucc.

イチイ科の常緑針葉高木。大きいものは高さ36メートル、直径2.5メートルに達する。樹皮は青灰色、滑らかで、老木では薄く縦にはがれる。若枝は緑色。葉は水平に2列に並び、線形で過半部が膨らみ、先は鋭くとがり、厚くて堅く、表面は濃緑色で光沢があり、裏面の中央脈の両側には2本の黄白色の気孔線がある。雌雄異株。雄花は黄色で楕円(だえん)形をなし、裏面の葉の付け根に並んで多数開く。雌花小枝の先に群がってつき、柄はなく、数層の細かい鱗片(りんぺん)があり、中央に1個の胚珠(はいしゅ)がある。果実は長さ2~3センチメートル、径1~2センチメートルの楕円形で、肉質の仮種皮で全部覆われ、初め緑色、翌年9~10月ごろ熟して紫褐色となる。種子は楕円形、淡褐色で堅く、木質両端がとがる。材は木理がまっすぐ通り、堅硬、緻密(ちみつ)で美しい。弾性が強く加工が容易で耐腐朽性も強く、建築、器具、船舶、車両、彫刻などに利用され、とくに碁盤、将棋盤には珍重される。木は庭園樹とする。

 陰樹で、日陰地でも稚樹が生え、適潤地によく育ち、谷あいなどでもっともよく育つ。本州、四国、九州および朝鮮の済州島に広く自生する。名は、古名カヘの転訛(てんか)であるという。漢字名の榧は中国産の別種であるが、慣用で日本産カヤにも使われる。変種チャボガヤはおもに日本海側の山地に分布し、低木状で枝からよく発根し叢生(そうせい)する。

[林 弥栄



カヤ(イネ科)
かや / 茅

屋根を葺(ふ)く材料とするイネ科(APG分類:イネ科)植物のこと。ススキを主とするが、カルカヤ、キツネガヤなども用いる。

[編集部 2019年8月20日]


カヤ(海産動物)
かや / 榧

腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱のうちの有鞘類(ゆうしょうるい)で、ハネガヤ科、シロガヤ科などに属する海産動物の総称。ウミカヤ(海榧)ともいう。これらはいずれも群体をつくっており、その群体の形が植物のカヤの木の枝に似ているので、このようによばれる。一見、植物と見間違うようなものであり、ハネガヤ、シロガヤ、アカガヤ、クロガヤ、ドングリガヤ、ツツガヤ、スダレガヤ、ヒゲガヤなど日本沿岸からも多くの種類が知られている。

[山田真弓]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「かや」の意味・わかりやすい解説

カヤ(榧)
カヤ
Torreya nucifera; Japanese torreya

イチイ科の常緑高木。本州,四国,九州の山野に自生するが,庭木としても植える。高さ 15~20mになる。樹皮は灰色でなめらかであるが,老木では縦にはげる。葉は革質で披針状線形,長さ2~3cmで先端はとがり,触れると痛い。表面は濃緑色で光沢があり,裏面は淡緑色で2本の気孔線がある。枝の左右に羽状につく。雌雄異株で,4月頃開花し雄花は枝の下面に並び,雌花は胚珠だけで枝先に1~2cmの楕円体となってつく。翌年秋に紫褐色に熟する。胚乳はあぶって食用にするほか,てんぷら用の高級油をとる。特に中部地方に産するシブナシガヤ T. nucifera var. shibunashigayaは最も品質がよい。材は土台,橋,桶,碁・将棋盤,駒などに用いる。種子を乾燥した生薬の「榧実 (ひじつ) 」は十二指腸虫駆除の効があるという。

カヤ

ススキ」のページをご覧ください。

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